盗聴の事
2017.05.16
「盗聴器が仕掛けられていますが、心当たりは?」
調査の移動中、受信機を回していると
たまに、雑音の間から、生活音が聞こえてくることがある。
一番クリアーに聞こえる場所を求め 車を廻す。
私塾の看板を、掲げているお宅の前が、一番クリアーに聞こえた。
時刻は、19時過ぎ、野球のナイター中継と、食器音
人の会話は、聞こえない。
受信機片手に、おもむろに、インターホンを押す。
一番緊張する、一瞬である。
もし違えば、ただの不審者である。
「ピンポーン!」受信機より、内部の音声が鳴る。
このお宅で間違いがないと確信する。
出てこられたのは、60~70代のご主人。
怪訝な表情で近づいてこられる。
それはそうでしょう。見知らぬ人が、夜7時に、訪問してくるのだから。
軽い挨拶と、名刺を出し
私「盗聴器が仕掛けられてますが、心当たりは?ありますか?」
ご主人「…」しばらくの沈黙
受信機から聞こえる、ナイターの音を聞いてもらいながら、
再びインターホンを押す。
ご主人「…」
玄関のドアが、再び開き、奥様とみられる方が、「どちらさん?」と
出てこられた。
同じ説明をし、再びインターホンを押し、確認してもらう。
私「もしよろしければ、撤去させてほしいのですが」と、尋ねてみる。
「別にお代はいりません、仕事の道中で、たまたま見つけて盗聴器を、放置しておくのは、あまりにも、不用心ですし。」
ご夫婦から、帰ってきた返事は NO!
「いやぁ~ うちいいわ~、警察に言います。」
そこから、警察は、事件にならないと動いてくれないし、機材も持ってるかどうかも怪しいと、説明するが、警察に言います。の一点張り。
まるで私が仕掛けて、糾弾されてるような空気になってきたので、
「では、最寄りの警察署の 生活安全課に、ご相談してください。
近くを通りかかった時、まだ電波が出ているようならまた声をかけさせてもらいます。」
やりきれない気持ちで、その場を、去る。
基本、他社は知らないが、私共では、
依頼じゃなく 偶然見つけた盗聴器は、サービスでとらせていただくことにしている。
その後、心配であれば、依頼してください。と言うスタンスだ。
と言うのも、一度撤去した後に、再配置されている場合が多い。
何かしらの情報を、取り終えてないからの再配置。
されていないケースは、まれだ。
もう、役目が終わってるが、とる必要もないのでそのまま放置
盗聴器と言うのは、仕掛けた本人だけが、聞けるわけでなく、
受信機を持ってる人ならだれでも聞くことができる。
電話ではなく、ラジオ局なのだ。
なので、放置盗聴器は、第3者の別の目的にも使用されることが多い。
某雑誌でも、全国盗聴器マップなどと、盗聴波が聞こえる場所を掲載している。
色々な事件に、巻き込まれることが多いのだ。